設計
2016/02/09
『新築とリフォーム』
設計部長の独り言 Epi,39
先日、お客様と打合せしていた際に、気になる事として質問されたことがありました。
『伊勢さん?新築とリフォームってどっちがいいの?ぶっちゃけリフォームの方が安上がりで済むの?』
この質問に対しては、私はズバッと即決出来ないと答えました。ケースバイケースだと。
そもそも新築とリフォームではスタートが全く違います。持ち家をもっているかいないかという点ですね。
そして、リフォームをして完成後の仕上がりを、どのレベルまで期待するのか。
今回は、新築とリフォームのそれぞれの特徴を載せてみようと思います。
仮にあなたが持ち家を持っていたならば……この前提に立った時。若しくは希望地の中古物件を購入しようと考えた時。こういった限定的な条件が前提にあると考えてみた時――
① 上物(建物)を取り壊して、新たに新築住宅を建てる。
② 上物(建物)をそのまま残し、改修を加える。
以上の二つの選択肢から、どちらにするのか考えなければなりません。
この際、あなたは新たにお金を掛けて住まう家に、どのようなことを求めるのか。ここがどちらが工事価格を安く出来るか。どちらを選択すべきか。という結論に至る材料となります。
仮にこれから長く住まうのだから――
A,新築並みに内装・水回り・外壁・屋根等遣り替えてしまいたいとお考えの場合。
B,内外装多少の古さは気にしない。使えるならば今あるもので十分とお考えの場合。
C,構造に不安があるので、耐震改修程の躯体補強工事が必要とお考えの場合。
D,間取りの拡張などしたいので、元の建物を増築・改築しようとお考えの場合。
ざっとリフォーム工事を考えた際に思いつく”求める事”だけでも、これ程種類や違いがあります。
この中で仮にA・Cをお考えになる場合で、耐震改修箇所があまりにも多すぎる場合、作業的にも建設費が多くかかると予想が付くのは弊社の場合は新築となるでしょう。
一般的な”リフォームの方が費用が掛からない”といったイメージが払しょくされると思われます。
これは理由は単純なものです。ご想像下さい。
何もないところに新たに物を作っていくのと、あるものを一旦壊してまた作るのと、掛かる手間はどちらが大きくなるでしょうか。
対してB,Dですが、DについてAが前提であれば前述と同じ。Bが前提であれば、結論はリフォームのほうが安くなると言えるでしょう。
さて、今までは我々としては、若い世代の方が将来的に長く住まうことを考えて、どちらが良いかと問われた場合には常に『新築』と答えて来ました。
しかし、以前のブログでも紹介した通り、今年の4月からは国交省が定めた計画案の中の中古物件のリフォームに関する優遇措置の件が出てからは、一概にはそう言えなくなってしまいました。
リフォーム工事は、今まではいくら新築同様に綺麗にしても、資産価値としてはあくまでも築年数から計算される為、メリットが感じられずにお勧めする事はあまりありませんでした。(予算の都合上、その額内で納められる様なリフォーム工事を提案する事はありますが)
しかし新計画案にて、中古住宅を現状の長期優良物件並みの建物にすると言うことと、これを第三者が証明する点から資産価値が上がる事が期待出来ると思うんです。
これからの建築業界の情勢の動きも含めてですが、今までの常識が変わっていくことになるのかもしれませんね。
今後注目して、お客様にとって一番良いのはどのパターンか。的確にアドバイスやご提案差し上げられる様にしていきたいと思っております。
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